GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略-評価4.5

作成日:2021.12.29(水)、変更日:2021.12.31(金)


読んだ後の感想

星5つ中の4.5

GAFA×BATHの比較と分析がわかりやすい。新しい情報も記載されている。道、天、地、将、法の分析の仕方は逆にわかりにくかった。そのまま記載されている解説で十分である。

ポイント

  • P104 フーマー(盒馬)が取り扱う生鮮食品の品質担保には、トレーサビリティーに「アリババブロックチェーン」が使われている。

  • P105 2018年4月にアリババが約1兆円でフードデリバリー企業ele.meを買収した。

  • P107 デジタルトランスフォーメーションの定義:経済産業省が2018年9月に発表した「デジタルトランスフォーメーションレポート」において、「企業が外部エコシステム(顧客・市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ・アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」というIT専門調査会社IDC Japanの定義を紹介している。

  • P136 ファーウェイは世界ナンバーワンの移動通信設備メーカー。出荷台数はスウェーデンのエリックソンを抜き、世界ナンバーワンの座にある。売上高の5割は通信事業者向けのネットワーク事業によって上げており、日本でもソフトバンクが基地局として採用。移動通信設備ではノキアやエリックソンを抜き、スマホ販売台数ではアップルを抜いている。

  • P137 ファーウェイの国際特許出願件数は、2014年と2015年には世界1位、2016年には世界2位。2015年には「ファーウェイが利用したアップルの特許件数」98件に対し、「アップルが利用したファーウェイの特許件数」は769件となっているからも、ファーウェイの高い技術開発力がうかがえる。

  • P138 最大データ通信速度は4Gが1ギガビット/秒であるのに対し、5Gは20ギガビット/秒。遅延時間は、4Gは10ミリ秒であるのに対し、5Gは1ミリ秒。同時多数接続は、4Gが \(1km^2\) あたり10万台であるのに対し、5Gでは100万台。つまり、5Gは4Gに比べて、「20倍の速さ」、「10分の1の遅延」、「10倍の接続可能数」を持つ。ユーザーの体感速度は、4Gの100倍にもなると言われる。

  • P153-154 ファーウェイ基本法は、ミッション・ビジョン、バリューから、経営戦略、機能戦略まで明確に定めており、同社の組織力の源泉と考えられる。著名な経営学者ピーター・ドラッカーの理論を参考に、任正非の経営哲学を練りこんだと言われる。著名な経営学者であるフィリップ・コトラーのマーケッティング理論の影響も見て取れる。欧米における経営戦略やマーケッティングの要諦が網羅されている。1998年の制定から一度も内容が変わることない。

  • P160 フェースブックのビジネスモデル:人と人がつながるプラットフォームを提供し、データを収集して最適化した広告を提供。

  • P160 テンセント:ゲーム、決済、AIによる自動運転や医療サービス、AWSのようなクラウドサービス、アリババと真っ向から勝負する「新小売」など。

  • P227 2017年のアルファベット(Google親会社)の売り上げの85%は広告関連。

  • P231 中国で販売されているアンドロイドスマホは、「アンドロイドオープンソースプロジェクト(AOSP)」というOSの中核部分をベースに、独自のOSを開発して搭載。このAOSPには、Googleのサービスがセットされていない。したがって、中国のアンドロイドスマホでは、google検索もgoogle playも使われないため、Googleは中国のアンドロイドスマホから収益を得ていない。( ITビッグ4の描く未来、小久保 重信、2017.10.5 より)

  • P252-252 Google開発力の秘密「OKR」。OKRとは、目標(Object)と「主要な結果(Key Result)」の頭文字をとった言葉で、かつてラリー・ページら経営幹部にOKRについて抗議したジョン・ドーアによれば、「会社内のあらゆる組織が、同じ重要な課題に全力で取り組むようにするための経営管理手法」のこと。

  • P255 「Googleは全社でこのOKRを設定し全社員と共有し、各チームもそれぞれにOKRを設定」、「OKRのメリットは仕事の優先度がクリアになる。達成度合いの評価が全社で共有できる」、「OKRを活用してイノベーションを促進するためのポイントは、高い目標の設定。時には到達できない目標を設定。到達できると事前にわかる目標の設定は、チャレンジや成長の余地が生まれない。」( ワーク・スマート、岩村水樹Google専務執行役員CMO、2017.3.8

  • P256 Googleの価値観の象徴「マインドフルネス」、「サーチインサイドユアセルフ Search Inside Yourself」:注意力、自己認識と自制、役に立つ心の習慣の創出( サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法、チャディー・メン・タン (著), ダニエル・ゴールマン(序文)、2016/5/17

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星5つ中の4、118個の評価

内容紹介

【内容紹介】 米中新冷戦時代、 全産業のルールをこの8社が塗り替える!

◎GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン) ◎BATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ) 話題の米中巨大テクノロジー企業(メガテック)8社の全容と戦略を、 1冊で平易に完全理解できる初めての本!

もはやこの8社なしにビジネスは語れない!

なぜすごいのか。何がすごいのか。 これならわかる!

著者について

田中 道昭

立教大学ビジネススクール教授

上智大学卒。シカゴ大学経営大学院MBA。専門は企業戦略&マーケティング戦略及びミッション・マネジメント&リーダーシップ。三菱東京UFJ銀行投資銀行部門調査役、シティバンク資産証券部トランザクター(バイスプレジデント)、バンクオブアメリカ証券会社ストラクチャードファイナンス部長(プリンシパル)、ABNアムロ証券会社オリジネーション本部長(マネージングディレクター)等歴任。(株)マージングポイント代表取締役社長。